強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月3日

朝起きてすぐに布団を上げてマットレスを確認してみた。
するとやっぱり湿っていた。湿っているどころかじっとりしている。
小さめのアザラシが寝ていたのかと思うくらいだ。
今日は天気が良かったので、すぐに布団もマットレスも外に干した。
これは早めに何とか対策をしなくてはいけない。
ベッドを探しに行ってみようか。
でも週末は人が多そうだからもう少し後で出かけることにした。
週末は人が多い。その原因は自分が外に出るからだ。外に出るから自ずと増えるのだ。
だから出ずに部屋に籠っていた。

珈琲を淹れてゆっくりした。
焙煎しておいた珈琲豆が少なくなっていたので、ついでに焙煎も済ました。
一日ダラダラしているといつの間にか日が落ち始めていたので慌てて布団とマットレスを取り込んだ。湿り気はすっかり乾いてなくなっていた。
そしてそろそろかな、とようやくぬらっと外に出た。

外を歩くとまだまだ人も車も多かった。
寒い季節の夕方はどこかセカセカしていて忙しない。
信号待ちをしていると、信号の先で渋滞しているらしく、車が横断歩道の真上で止まった。そこに歩道の後ろから自転車で来たおじさんがその車の前で止まり信号待ちをした。
車と自転車が同時に横断歩道の上で別々の信号を待っていた。
すぐに車側の信号が赤に、横断歩道側の信号は青に変わり、おじさんは車のほうを一度グワっと見てから無言で自転車に乗って行ってしまった。
運転手はマンボウみたいな目で前の渋滞を気にしていた。
信号を渡り終え歩いていると後ろの方からビーーっという10秒くらい続く長いクラクションの音が聞こえてきた。
みんな世の中の何に対して抗議していいのかわからず戸惑っているみたいだった。

音を避けるようにお店に入った。
スーパーとホームセンターが併設されていて入った入り口はスーパー側の入り口だった。
しかしお店の中もやっぱり人が多くガヤガヤしていた。
通路には人が思い思いに歩いていて避けて歩くのが大変だ。
ぶつからないように何とかうまく歩いていると、ふいにスーパーのテナントに入っている花屋から「ルーシーインザスカーーーイ、ウィズダイアモン」と歌うジョンの声が聞こえてきた。
BGMにBeatlesが流れていたのだ。
今まで"Lucy in the Sky with Diamonds"なんて別に好きじゃなかったはずだけど、雑踏の中で聴くジョンの声になぜかグッときた。
少し疲れていたのかもしれない。
このタイミングでの"Lucy in the Sky with Diamonds"はたしかに効いた。
しばらくその場でジョンの声を聴いていた。
そして、そのうち曲が変わったのでまた歩き出しホームセンターに向かった

ホームセンターでベッドを探してみると安くても3万ちかくするみたいだった。
今日はそこまでのものを考えていなかったので、もう少し何とか安く対策できないかと見回っていると、あぁ、あるじゃないか。
程よい大きさのすのこがいくつも積んである。
これいけるんじゃないか。
値段も2枚セットで1,280円で素材は桐だった。お金も1万円持ってきているし十分に足りる。しばらくこれで過ごし、ちゃんとしたやつはまたそのうちに考えよう、とそれを持ってレジへ向かった。
お会計は税込み1,408円だったので1万円札と408円を出した。
レジの女性は「すみません、全部千円札でもいいですか?」と聞いてきたので、いいですよと答えると、女性はレジから千円札を取り出しペラペラと数え始めた。
数える時に膝でリズムを取って数えていたのだけれど、なぜかその光景にまたもグッときてしまった。
あるいはレジの女性とBeatlesのリズムが同じだったのかもしれない。

お釣りを受け取りすのこを持ってお店を出た。
歩きながらすのこを見ていると、桐すのこ(押し入れ用)と書いてあった。
このすのこは押し入れに敷いて使う用のやつみたいだ。

おし-いれ【押(し)入れ】
家屋内の、ふすまなどで仕切り、寝具・道具などを入れておく所。押し込み。ドラえもんの寝床。

21世紀だからこれでいいんだな、と納得した。

Financial Times
Russia gathers 'shadow fleet' of oil tankers
ロシアは石油タンカーの「影の艦隊」を集めている

来た道を戻っていると、先ほどの交差点に2台の前と後ろがそれぞれ凹んだ車と、赤い回転灯をクルクルと回したパトカーが3台止まっていた。

21世紀はまだまだ事故も戦争も無くなりそうもなかった。