強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

1月4日

Some come back in the rain, others go out

初詣をしてきた。
初詣にいこうと思っていたわけじゃないのに、結果的に4つの神社をお詣りしてきた。

昔からの古い街道を周りに合わせるように忙しいふりをしてサクサク歩いていると、家と家との隙間に軽自動車も通れないくらいの小さな道があるのに気が付いた。そしてその奥に鳥居があるのが見えた。
ちらっと見て、鳥居が朱色ってことはお稲荷さんか、と思っただけで一度そのまま通り過ぎたのだがふいに、お詣りでもしておくか、と思いたち引き返した。まだ初詣もしていなかったのでいい機会だった。
いざ鳥居まで来るとほかには小さな社があるだけのこじんまりとしたものだったけど、掃除は隅々まで行き届いており地元に根付いている神社のようだった。
鳥居をくぐりお詣りしようとお賽銭を出すと賽銭箱がなかったので社の前に5円玉を置いた。今回突然の参拝でとくにお願いすることはなかったので心を無にして頭を下げてお詣りをした。

参拝を終え歩いていると数百メートルほど進んだところで雅楽の音が聞こえてきた。音の鳴るほうに歩いていくとそこもまた神社だった。
今度のは割と規模の大きな神社のようでスピーカーで越天楽を鳴らしたり、係の人が誘導したり、少しだが屋台が出ていたり参拝客もちらほらいた。
せっかくだからここもお詣りしておこうと鳥居をくぐった。
拝殿に向かうと人はそこまで多くないはずなのにずらっと20人ほどが並んでいた。ここは一組ずつ拝殿の前に立ちじっくり参拝しているようで、その一組一組が掛ける時間も心の底から世界平和を願っているかのような長さだった。
そうかさっきも世界平和を祈ればよかったのか。
今度はそうしようと思ったが、なかなか列が進まないので世界平和への祈祷はみんなに任せて横のほうから手を合わせて、そのまま神社を後にすることにした。お賽銭として10円を用意していたのだが、それは神社を出るときに狛犬に供えておいた。

気にすると街なかに神社は結構あるものなのだな。
そう思ってキョロキョロ歩いていると、10分ほどしたところでまた越天楽の音楽が聞こえてきた。その音につられて向かうとやっぱりそこも神社だった。その神社ものぼりが立っていたり、参拝客もちらほらいたけど、先ほどよりはすいていたので参拝することにした。今度はしっかりと10円玉を賽銭箱に入れて、そして世界平和を祈願することができた。

三社も一息に詣でたのでずいぶんと満足した。
もうないだろうと思ったが、そういえばあそこに小さい神社があったなぁとふと思い浮かんでしまった。そこは以前にも行ったことのあるここからそう遠くないところで15階くらいの建物の横にあるひっそりとした神社だった。
もうついでに行ってしまおう。
どうせまだ一回しか世界平和を祈っていない。
世界平和なんて一回祈ったくらいでは到底叶わなそうだ。

その神社には10分くらいで到着した。そこもお稲荷さんを祀った神社で最初のと同じく鳥居と社だけしかないこじんまりとしたものだった。そしてここにも賽銭箱は置いていなかった。他の二つの神社には大きな箱が置いてあったものだが。
おずおずと社の前に行き10円玉を置いて世界平和を祈った。

これで少しはマシになっただろうか。
やれることはやったような心持になり帰ることにした。

あと少しでアパートに到着するというところで雨が降ってきた。
空には雲はそんなに出ていなかった。狐の嫁入りか。狐は冬に結婚しがちなのだろうか。
知っていたらもう少しお賽銭をあげてもよかったけど。

BBC
Russia blames missile attack on soldiers' mobile phone use
(ロシアはミサイル攻撃を兵士が携帯電話を使用したせいにする)

小走りでアパートに着くとよく会う住人に出くわした。
いつものように、こんにちは、と挨拶をすると「こんにちは」と返してきた。
あけましておめでとうございます、と言うと「ありがとう」と返ってきた。
ところによればそういう風習もあるのだろう。
そして「今年もよろしく」と言われたので、こちらこそお願いしますと伝えた。
「それじゃ」と行こうとしたので、雨降ってきましたよ、と言うと「大丈夫」と腕に掛けた傘をひょいと上げてにっこり笑って彼は玄関を出て行った。

まるで結婚式にでも出席するかのような笑顔だった。