強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

5月30日

いつのまにか、夜に蛙や虫の鳴き声が大きく聞こえるような季節になっていた。
虫たちはこれでもかというくらい精一杯鳴いているように聞こえる。
たまに聞こえる猫の鳴き声もお腹の底から声を出しているし、畦道に潜んでいる鳥もギャギャギャと叫んで飛び立っていった。
子どもや赤ん坊も必死になって泣いたり笑ったりしているし、そういえば先日駅前で見たおじさんも何か大声で喚いていた。
大きな声を出したり泣き喚くことは生き物にとっての自然な営みなのだ。

そんな虫の鳴く声が聞こえだす時分ぐらいからコソコソと作るホットケーキが好きで最近は毎日くらい焼いている。
虫たちの活発な活動に反して人の気配のない中に、卵を割るカパッという音が小気味よく響く。
そして台所の仄暗い灯りの下で何か秘密めいた実験のように小麦粉と砂糖を計ってさっくりとかき混ぜる。
夜のある時間だけが持つ特別な空気も一緒に混ぜ込む。

元々ホットケーキが好きだったのだけれど冬のあいだは専ら蒸しパンケーキだった。
それが季節の移り変わりとともにホットケーキになっていた。
メレンゲを泡立てたりも色々試してみたけれど、やっぱり生地のしっかりしたオールドスタイルのホットケーキが好きで今はそればかりになった。
パッとしないレシピの中でバニラビーンズを漬け込んだウォッカと溶かしたバターを混ぜるのが唯一の工夫で、弱火でじっくり焼いたホットケーキはこれが夜中だとはとても思えないくらい希望に満ちたいい香りがした。

The Wall Street Journal
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夜中のふくらし粉でふかふかのホットケーキは優しい甘さでおいしかった。
ホットケーキにはまだメープルシロップをかける余地も残されていて、そして夜はこれからだった。