強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

11月16日

駅を出てすぐのデパートに寄った。
デパートの5階に100円ショップがずいぶん前にできていて、そこで冷蔵庫の表に磁石で張り付けられるフックを探しに来たのだ。
探してみると、磁石はいろいろあったけれどフックになっているものは少ししかなくピンとくるものはなかった。
他にも100円ショップはあるし急ぎでもなかったので今回は諦めることにした。
下に降りるためにエスカレーターに向かった。
エスカレーター近くではビラ配りをしている人がいるみたいで声が聞こえてきた。
一生懸命に、どうぞ、とか、こんにちは、とかよろしくお願いしますと声を掛けながらチラシを配っているみたいだった。
しかしそれに反応する人はほとんどいないみたいで、見ているうちには誰も受け取っていないようだった。
そんなにみんなに必要とされていないビラだなんて、どんなビラなのだろう。
配っている人も少し不憫に思えたので、前を通ったら受け取ってみようと構えてエスカレーターのほうに向かった。
エスカレーターに近づき、いよいよ乗ろうという段階に来てもその人は手を出そうとしてこなかった。
軽い会釈でいなされた。
そうか、そのパターンもあるのか。
エスカレーターはそのまま1階に着き何事もなく店を出た。

店を出てすぐの通りを歩いていると前の方から男性が歩いてきた。
その男性はコートを着込み傘を差していた。
うん?雨でも降ってきたのかな、と思い手のひらをかざしてみたが雨粒は当たらなかった。
空を見上げてみると確かに雲が張り出していてどんよりとしていたけれど雨は降ってはいない。
逆にどんよりとしているお陰で太陽も出ておらず、日差しを遮るための日傘も必要もなさそうな空だった。
周りを見回しても彼以外に傘を差している人はいなかった。
しかし彼はまるで大粒の雨が降っているかのように傘を両手でしっかり握りしめ肩をすくめて歩いていた。
あるいは人工衛星からの監視を避けるかのように。
そういえばロングコートを上までぴっちり閉めていたようにも思う。
すれ違った後、振り返ってしばらく様子を見ていたが、そのまま彼は背中を丸めて逃げるように足早にいってしまった。

Financial Times
Putin answers Kyiv's peace terms with missile blitz
プーチンウクライナ政府の和平条件にミサイル攻撃で応えた)

よく考えてみると彼は今、傘を差していたけど、彼にはたたむという選択肢もある。
でもこちらには突然雨が降ってきても差す手段は選べない。
たしかに突然雨が降ってきても手に持っていなければ意味がないし、持っていてもいざという時にちゃんと使えるか、壊れていないか、晴れているうちに大丈夫か確認したこともなかった。
今、突然雨が降ってきたらオレはずぶ濡れだ。