強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

11月20日

久しぶりに本気を見た。

そんなにおかしいことではないのに、やろうとしてもなかなかできないことがある。
人の目なんて気にせずやればいいのに、と思うのだけどやっぱり思い切れない。
ただの意気地なしといえばそうなのだ。
他人がそれをしていても、特に何とも思わないし、何かを思ったとしてもすぐ忘れるだろうし、悪い感情なんてわかないはずなのに。
そういう意味では、人生を全力で楽しみ切っていないような気がする。

その一つが全速力で走る、だ。

長時間かけて、長距離を走り全力を出し切る、これはできる。
でも長距離ではなく短距離を全力で走る、これが人に見られるとなかなかできない。
運動着だと少し恥ずかしさもあるがまだなんとかいける。
普段着になると途端に人目が気になる。
ちょっと速いくらいなら大丈夫なのに、必死で短距離を全速力はなぜかできないのだ。
そしてふと考えると、一般の大人が普段着で全力で走っているのも、いつ見たのかも思い出せない。
少なくともここ数年の単位で見たことないような気がするし、ひょっとしたら今まで見たことないのかもしれないとさえ思った。

それが今日全力で走っている人を偶然見かけた。
外を歩いてる時のこと、何気なく人気の少なそうな道を選んで歩いていると、スーパーの裏みたいなとこに出た。
すると後ろから「タンタンタンタンタン」と突然アスファルトを蹴る音が聞こえたので振り返ると、若いけど、明らかに成人しているだろう男が全力で走ってきた。
道路とスーパーとの間はフェンスで区切られていて、走っていた男の人はフェンスの向こう側だったためかこちらに気が付いている様子はなかった。
こちらが、おぉ、と思わず見とれていたら、その男性もこちらに気が付いたようで、途端に速度を緩めてしまった。
そして、そそくさと早歩きで行ってしまった。
少し申し訳ない気がした。やっぱり人はあまり全力で走っているところは見られたくないみたいだ。
自分も昔はそんなことはなかったのに。いつからこうなったのだろうか。
20歳を超えてからか、でもまだそのころは走っていたような気がする。
いや年齢のせいにしてもさらに虚しくなるだけだ。

USA TODAY
Biden at 80: President hits milestone amid questions about re-election bid
(80歳になったバイデン:大統領は再び選挙に出るかわからない中で節目を迎えた)

これは肉体の問題ではないのだろう。
ようするに精神が老けたのだ。