強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

11月12日

カコーン。

カコーンという音で目が覚めた。
少し目を開けただけで動く気は全くなかった。カコーン。
昨日は早く寝たはずなのにまだ眠い。まぁ、今が何時かは確認してないから何時間寝たのかはわからないけど。
たっぷり寝た感じはするがまだ寝ていたい感じもある。カコーン。
どうせ起きてもやることはない。やった方がいいことはあってもやらなければいけないことは何もない。
だからまだ寝ていよう。そう思ったのかどうかわかないうちにまた眠気が襲ってきた。

カコーン。
少し寝た気がする。
目を開けるとカーテンの隙間から光が差している。
今日が晴天だということがわかった。カコーン。
気温も低くない、むしろ暖かい。カコーン。
チッ。だめだ。今日はなぜか音がやけに耳障りだ。

うちの近くに公園がある。遊具はないのだが、その代わりそこそこ広さはあって、色々な時間帯で色々な人が体を動かしに来ている。
自分もたまにうろうろしたり、木にぶら下がったりしている公園だ。
いつもならそんなに音とか気にならないのに今日はなぜか気になる。カコーン。

この音はじいさんがグランドゴルフしている音だった。
この公園で行われるグランドゴルフの音には2種類あって、一つはカコーンとボールを打った後に「おおぉー」とか「あははは」などと会話があふれるタイプのグランドゴルフの音で、もう1つはカコーン、カコーンと淡々とボールを打つ音だけが延々と響くグランドゴルフの音だった。
公園には大勢でグランドゴルフを楽しんでいる集団といつも一人で黙々とグランドゴルフを練習しているじいさんがいるのだ。
そして今聞こえている音はカコーン、カコーンとただボールをひたすら打つ音だけが響く後者の方だった。

もそもそと布団から這い出て台所に向かう。珈琲豆が入っているはずの瓶を見たが中身は空っぽだ。
仕方なく冷蔵庫を開けてみたが中身はレタスと生卵、ベーキングパウダーだけしか入っていなかった。カコーン。
飲み物がないので仕方なく流しの下の扉を開け梅酒の入った瓶を取り出した。
夏前にウイスキーやブランデーで漬けておいたやつだ。
今年はたくさん漬けておいたので夏が明けてもまだ残っていた。
グラスに氷を一つ入れ梅酒を杓で一杯掬って注いだ。
グビっと一口飲む。
カラカラの喉に甘い梅酒が流れる。カコーン。
オーケー。わかったよ。じいさん。
じいさんのボールを黙々と打つこの音は何かを感じさせる。
勝手に何かを感じているのはこちらだ。じいさんはただ黙々と蟻んこほどでもグランドゴルフが上達するようにボールを打ち続けているだけなのだ。
いつもはたいして気にも留めていない。だけど今日は何か急かされている。
音を耳障りに感じているのは、今をだらだら無駄に過ごしている自分の気持ちがそうさせているのだ。
わかった。わかったけど、今日はとりあえず無駄にさせてくれ。
梅酒をもう一杯グラスに注いだ。

US Weekly
MAFS' Katina Goode and Olajuwon Dickerson Split After 1 Year of Marriage
(MAFSのカティーナ・グードとオラジュワン・ディッカーソンは結婚から1年で破局した)

時は着々と進んでいた。
明日はちゃんと起きて掃除もするし忘れずに珈琲豆も買いに行こう。