強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月18日

朝早く目が覚めた。

今日は気温は低いけれど雨は降らないと聞いていた。
だから二度寝をせずにそのまま一週間分の溜まっている洗濯をした。
その勢いで布団をたたみ、部屋の掃除をした。
週に一度は床をウェットシートで拭き掃除するようにしていた。
面倒なのだが薄茶色のフローリングだから陰毛が落ちているとすごく目立つ。
毎回の陰毛の多さにびっくりする。
これだけ抜けても少なくならない陰毛の謎を現代の科学はどう考えているのだろう。

洗濯機が止まり濡れた衣類を干した。
まだ太陽は照ってこないが乾くのだろうか。

起きてからずっと珈琲が飲みたかったのだけれども焙煎した豆がなくなっていたので豆の焙煎をした。最近いろいろな情報を調べすぎたせいか、頭でっかちになっていい焙煎ができていなかった。そこで今回適当に自分の感覚だよりでやってみると意外と満足のいく焙煎ができた。
今日はツいているかもしれない。

豆を冷ましている間に小麦粉を練った。
小麦粉の懐は深い。
水とあと少し材料を加えるだけでいろいろな食べ物に変わる。材料はそんなに差がなくても運が良ければカッコいい名前に替わることもある。
人気のなかったプロレスラーでも一度メキシコに行ってマスクを被ればカッコいい名前で帰ってくるのだ。

そして今日は運がいい日だった。
フォカッチャだ。
中年のフォカッチャはなかなか気取れる名前だ。

昼はそのフォカッチャを焼いて珈琲とレタスを食べた。
そのあと少しダラダラしてからトイレ掃除をした。
未だに立って小便をするタイプなので、これも週一くらいは掃除している。

トイレ掃除を終え部屋に戻ると日が差していた。
いつの間にか晴れていた。
気温は低いのに外だけ見るととても暖かそうで、どこか奇妙な感覚になる。
ふいにどこか見晴らしのいい山の中で暮らしてみるのもいいなぁと思った。

その後ポテトサラダを作った。
先週も作ったポテトサラダを今週も作った。
何度も同じ罠に引っ掛かる獣のように、何回も飽きもせず作っている。
ただ自分の作るポテトサラダはイノシシのようにガッツがあった。
ポテトサラダを作る様も、毎回同じ罠に引っ掛かって毎回檻の中で猛り狂っているイノシシのように作っていた。
ガッツのあるポテトサラダはガッツある作り手から生まれる。
作ったポテトサラダをたっぷり入る深めの容器に移した。
1週間分はあった。

冬の昼は短い。
気を抜くとせっかく乾いた洗濯物もすぐに湿ってしまう。
少し暗くなりかけていて慌てて洗濯物を取り込むと、洗濯物はしっかりと乾いていい匂いがした。

家の用事が済んだのでウイスキーを買いに出かけることにした。
気温が低いので、暖が取れるバーボンが欲しかった。
この時期に合うのはオールドグランダッド114だ。
一番好きなヤツで当然ガッツもある。

歩いて酒屋に向かった。風が強くて冷たかった。
車道には車がたくさん走っていた。

店に着いてバーボンの並んでいる棚を探した。ざっと見たが見つからなかった。
品を並べていた若い店員がその様子を見て声を掛けてきた。
「何かお探しですか?」
オールドグランダッド114を探しているのだと伝えた。
「え、そんなのありました?」
夏ごろまではあったはずだった。
「いやぁ、在庫のあるものは全部並べてあるんですけどね」
いくら探してもなかった。売り切れというよりもそのための棚すらない状況だった。

そのまま何も買わずに酒屋を出た。

The Japan Times
North Korea fires two ballistic missiles into sea of Japan
(北朝鮮日本海へ向けて2発の弾道ミサイルを発射)

ここまでうまくいっていたのに少し気落ちしてしまった。
オールドグランダッド114が売ってないなんて。
この街はいい街ではあるけれど、どこか少しガッツが足りない気がした。

混雑した道路で荷台に料理を入れるための鞄を乗せたバイクが勢いよくUターンをした。
少し走った先でカランカランと何かを落としたけれどそのまま走り去った。
すごい速さだった。
なかなかガッツがある。

歩きながらどこか人里離れた山の中でキツめのバーボンをこっそり密造するのも悪くないんじゃないかと思った。