強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月24日

There’s a good Unko and a bad Unko

9時過ぎに目が覚めた。

寒い季節はいくら寝ても寝足りない。
これは一種の冬眠なのかもしれない。
目が覚めた後もなかなか布団からは出られずウダウダしてしまった。
1時間くらい布団に入っていたが思い切って起きることにした。
服を着てお腹が空いていたので小麦粉を溶いてパンケーキを焼いた。
パンケーキはねずみでも焼けるくらい簡単なのにおいしい。
パンケーキが焼けるのを待っていると、そうか昨日の本のやつは”ぐりとぐら”でもよかったんではと思った。
パンケーキといえばやはり”ぐりとぐら”か”ちびくろサンボ”だ。
ちびくろサンボ”だとひょっとしたらお母さんのいない子にその本が渡り、少しさみしい気持ちにさせてしまうかもしれない。
だから”ぐりとぐら”がよさそうな気がした。
なにか感動したり教訓めいた字ばかりの本を選んでイイカッコをしようとしていたかもしれない。
反省しながら焼けたパンケーキを食べた。
パンケーキを食べ終えて何もすることはなかったが外は相変わらず寒そうで外出するのは躊躇した。
しばらくダラダラしながら本棚を眺めていた。
改めて本を見てみたが、ヘミングウェイブコウスキー、アーヴィンウェルシュバタイユオマル・ハイヤームなど呑んだくれやジャンキー、エロなどクソったれな本ばかりだ。
何を見てもどんな本がよかったのか考えてしまう。
このままではすっきりしないので、とりあえず今日も本屋に行ってみることにした。

外は寒いのにもかかわらず人がたくさん歩いていて賑やかだった。

本屋に入るとまだブックサンタのポスターが貼られていて、そこには本の受付は今日24日までと書かれていた。

本を見ながらまずぐるっと一周回った。
並んでいる本は昨日と同じで何も変わってないように見えた。
そこで昨日は見ていなかった絵本の棚を探すと”ぐりとぐら”はすぐに見つかった。
手に取ってパラパラと中を見るとパンケーキは相変わらずおいしそうだった。
しかし、いざ”ぐりとぐら”を手に持つと、これみんなすでに読んでいるんじゃないかという気がしてきた。
これを贈っておけば間違いないと安易な考えに逃げているような気もする。
一旦”ぐりとぐら”を置いて他の絵本を見ると懐かしい昔読んだ絵本もたくさんあった。
その中にエドワード・ゴーリの絵本も置いてあった。
薄くて程よい大きさだったけど、中身は少女が父親の車にはねられて終わっていて、あぁ、と思って本を置いた。

今日も昨日と同じ危険な状態に陥ってきた。

読んだことのある本だけではなく、いろいろな本を手に取ってたくさん読んだ。
ひょっとしたら今まで生きてきて読んだ量よりも多く読んだかもしれない。
だけどやっぱり選びきれなかった。
最後はいい話になっていても、途中のちょっとした不幸な描写を過剰に気にしてしまった。これはある種の現代病かもしれない。
潔癖にそして過敏になりすぎていた。
やっぱりあのポスターの”様々な事情で困難にある子どもたち”の一文はいらないんじゃないかとあらためて思った。

The New York Times
A bitter cold Christmas Eve will dawn across Eastern U.S.
(厳しい寒さのクリスマスイブがアメリカ東部で明ける)

気が付くと本屋に入ってから2時間を超えていた。

もう疲れたなぁと思っていると思わず一冊の本に目が留まった。
その本には”うんこ英単語2000”と書かれていた。
中を見るととても刺激的な内容で体にスゥっと染みてきた。
これがいいんじゃないかと思えた。
サンタクロースがやってきて”うんこ英単語2000”を貰った高校生が将来外交官になっているところを想像すると、とても素敵なことのような気がした。
もうこの本しか考えられなかった。
本を手に取り店員に、これをブックサンタでお願いします、と渡した。
「はい、ありがとうございます、ちょっと大丈夫か調べますね」といって店員はバーコードを読み取った。
マルキド・サドが書いた本だと思われたのだろうか。
「あ、大丈夫ですね、ブックサンタのご協力ありがとうございます」といってブックサンタの紙とシールをこちらにくれた。

外に出るともうすっかり暗くなっていてイルミネーションがきれいに光っていた。
空気は冷たく寒かったが便秘が解消されたようなスッキリした気持ちだった。