強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月23日

Santa Claus can enter from anywhere without a key

帰りに本屋に寄った。
これという目当ての本はなかったけれど、ふらっと寄ってみた。
なにか面白そうな本はないかなぁとぶらぶら歩いていると壁に貼ってあるポスターが目についた。
そこには”ブックサンタ あなたの選んだ本を、サンタクロースが全国の子どもたちに届けます”と書かれていた。
それを見てふと、一冊選んでみてもいいか、という気になった。
中年の独身の男でもそういう気になることもあるのだ。

仕組みはどうやらこの本屋においてある本を選んでお金を払うというものだった。
すぐにはどんな本がいいのか思いつかなかったのでブラブラと何かないか見て回った。
子どもにあげる本とはどんな本なのだろう。
果たしてそんな本あるのだろうか。
存在はするのだろうけど、自分が今まで読んできた中にそんな本があるのか思い出せなった。
一周見て回ったがあまりどの本もピンとこなかった。
タイトルを見ていると、どの本もいいようにも思うし、どの本も少し違うようにも感じた。
三周ほど回ってみたがやはり見つからなかった。
今度は自分が読んできた本をじっくりと思い返してみた。

全然ない。

悪い予感は的中した。

子どもに胸を張って薦められる本なんて一冊も知らなかった。
家に持っている本もほとんどがロクでもない内容で下品な大人が飲んだくれていたり、汚く罵っているようなものばかりだった。
こうやってたまに本屋には来ることはあったが、たいして本を読んでいないことに気が付いた。
読んでいたとしてもロクな本を読んでいない、自分はただの雰囲気読書家だった。
ある意味バイトリーダーだ。

1時間以上探し回ったがついに選ぶことはできなかった。
あらためてポスターをまじまじと見た。
そこには本に乗った笑顔の子どもが描かれていたけど、こんな笑顔にするのは無理だった。
これだったら何かシュークリームでも贈ったほうがいいんじゃないかと思った。
そしてポスターをよく見ると小さい字で”子どもたち”の文字のところに”様々な事情で困難にある子どもたち”と但し書きがされていた。
これだとますます無理だ。
本とは言葉だ。
困難な状況にある子どもたちに一体どんな言葉を贈ればいいのだ。
いたたまれず本屋から逃げ出した。

The Washington Post
As storm plows eastward, snow, wind increase and temperatures plange
(嵐が東に進むにつれて、雪、風が強まりそして気温は急激に下がった)

アパートに逃げ帰るとポケットの中に鍵を持っていないことに気が付いた。
そのままでは建物自体の玄関のオートロックを解除できず中に入れないので、建物の裏に回り柵を乗り越えてアパートに入った。

部屋に忍び込むのはばっちりだった。