強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月25日

i'm lovin' it

石油ストーブは暖かいだけじゃなく調理ができて便利だ。

いつもストーブの上にヤカンや鍋を乗せておいて、お湯を沸かしたり煮炊きをしている。
昨日もパンケーキをストーブの上にフライパンを置いて焼いていた。
ストーブは暖かくて便利なのだが灯油が切れがちなのが難点だった。
灯油は近くのガソリンスタンドに歩いて買いに行っていた。
ポリタンクを持って歩くのにあまり重いのも大変なので10L用の小さめのサイズを使っていた。
それだと持ち運びは軽い。
だけど10Lの量はやはりすぐになくなりがちだった。
今日の天気予報は曇り時々雨となっていたが、昼間は晴れがちだったのでその間にさっと灯油を買いに行くことにした。

ダウンジャケットを羽織り、帽子を被ってマスクを着けるとドアを開けて外へ出た。
近いし屋内に入るわけではないのでマスクは要らないとも思うけれどもしっかりと着けた。
正直マスクにどのくらいの効能があるのかはわからないけれど、誰かが気にするならまぁ着けてもいいかと思うし、何よりマスクをしていると暖かかった。
キューバダイビングやエスキモーの人がなぜ顔だけ出しているのかよくわからない。
あれだけ体の方をしっかりと着込んでいるのだから顔も何かで覆えばとても暖かいと思うのだが。
そういうのは知らないのだろうか。

「堂々と顔を出せないような世の中になったら終わりだぜ」
まぁ、それはそうかもしれない。

階段を降りて建物の玄関を出ようとすると、人がこちらに向かってきたのでオートロックの扉を開けて待った。
こんにちは、と挨拶をすると「ども、こんにちは」と少し早歩きで入ってきた。
彼はここのアパートの住人で一番顔を会わす人で、そして挨拶をするたびに何か一言声を掛けてくれる人だった。

最初は5月くらいの梅雨前なのにとても暑い日だった。
その頃よく駐輪所でバイクを修理していた。
バイクはそれまで2年ほど乗らずに放置をしていたため、タイヤはパンクしていて、ホイールや車体も錆びだらけの走らない状態だった。
それを整備しているところにちょうど彼がどこかから帰ってきた。
こんにちはと挨拶をすると彼も「こんにちは」と挨拶を返してきた。
そして「がんばってますね」という労いの言葉と共に「バイクいいですね」と言ってくれた。
バイク好きなんですか、と訊ねると「いや、あんまり知らないんですけどね」と少し照れて笑っていた。
同じくらいの歳の中年のおじさんだと思うけれど笑顔がとても愛嬌があった。
こういう人にこそ、いい人生を過ごしていいセックスをしていて欲しいなとぼんやりと思った。
それからも顔を会わすといつも少しだけ言葉を交わすようになった。
ただお互いに名前も部屋の番号も性癖も知らなかった。

今日も挨拶を交わすと手に持った灯油のポリタンクを指差し「バイクのですか?」と返してくれた。
いえ、ストーブの灯油が切れそうなので買いに行くんです、いつもエアコンですか?と訊くと「いや、暖房使わないので」と照れるように笑っていた。

People
Lindsay Lohan Smiles with Husband Bader Shammas for Holiday Selfie: 'Merry Christmas Everyone!'
(リンジー・ローハンは夫のベイダー・シャマスと休日の自撮りで笑顔:「みんな、メリークリスマス!」)

「それでは」と挨拶をして別れた。
階段を上っていく彼の手にはマクドナルドの袋があった。

マクドナルドの紙袋は意外にクリスマスの雰囲気に合っていた。