強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月14日

Even if you have a lot of shoes, you only have two legs

予報通りやっぱり寒くなった。
現代の科学はとても発達していて、こうなることは簡単にわかってしまうようだ。

しかしこちらも手をこまねいていたわけではない。
愚者は経験に学ぶ。
もう何十年と季節の移り変わりを経験してきているのだ。
どうせこの先もっと寒くなるのだろうし、そのあと暖かくなってきたと思うとすぐに暑くなるのだろう。
そしてまた寒くなるのだ。
今までの経験がそう語っている。
とりあえず今回打った手は例のキムチだった。
あらたな野菜を入れるのはもう止めていたが、最後のドロッとしたやつを捨てたわけではなかった。
オンギに入れたまま保存しておいたのだ。
そのまま食べるにはどんどん薄くなっていたし、逆に酸味は出てきていたのだが、最後にこれを使ってキムチ鍋をするタイミングを虎視眈々と窺っていたのだった。
そしてまんまと将軍がやってきて掛かったわけだ。
朝のうちに鍋に昆布と水を入れるとこからもうコトは始まっていた。
今回のキムチはしっかり作られたキムチなのでこれさえしておけばもうあとはなんでもよかった。

夜に鍋の材料を買いに行った。
冬は夕方から夜になる瞬間がとてもきれいだ。
特に今日は気温は低いけれど雲が全然なくて、太陽の落ち切った後の残り香がしぶとく空に漂っていて、それと始まったばかりの夜の暗さとの曖昧な境目が印象的だった。
丁度、散髪に行きたてのおじさんのきれいに刈り上げられた首と頭の境目に目を奪われるようなものだ。

どんな具材を入れようか少し迷ったがキムチは本物とはいえほとんど残ってないので白菜はやめておいた。
結局ニラ、もやし、豆腐、油揚げ、中華そばを買った。
欲を出せばもっと入れたいものはたくさんある。
豚肉、タラ、牡蠣、エノキ、ネギ、もち、他の具材を考え出したらキリがない。
人生とは取捨選択だ。
結局、靴をたくさん持っていても、足は2本しかないのだ。

材料をリュックに入れて店を出た。
街灯や車のライトで歩いている影がいろいろなところに映し出されていた。
リュックからニョッと出ているニラがカッコよかった。

部屋に戻り鍋の蓋を取ると、昆布からのいい出汁がしっかりと出ていた。
フライパンにゴマ油を入れてガスコンロに火をつける。
そこにつぶしたニンニクとみじん切りにした鷹の爪を入れじっくりと風味を出す。
火加減は弱火だ。
風味が出たらニンニクを一旦取り出し強火にしたらもやしを入れて炒める。
そこにオンギの中のキムチの残りを一気に入れて炒める。
よく炒めたら出汁をいくらか入れてフライパンについた旨味をこそげ取り鍋に移す。
そこに塩、砂糖、味噌を1,2,3という感じで入れたらあとは各々の判断で具材を入れ強火でグツグツ煮込めば出来上がる。

BBC
Scientists find clitorises on female snakes
(科学者はメスの蛇にクリトリスを発見)

グラスに氷を入れ梅酒を注ぎソーダ水で割った。
お箸でクルッと一回混ぜてゴクッと飲む。
湯気の上がったキムチ鍋を器によそう。
あぁ、こういう時にお玉があると便利なのだな。
代わりにコーヒーカップを使って器に入れた。
一瞬、お店から出たときにリュックから買ったばかりのお玉がはみ出しているところを想像した。
道に映った影はニラよりもカッコいいんじゃないかと思った。