強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

12月27日

I twisted my body like a fist which has the will and avoided the world

冬に入った頃から足に霜焼けが出来始めていてアレだから最近はもっぱら湯船にお湯を張り浸かるようにしていた。

するとその影響は如実に現れた。
朝、玄関で靴を履こうとすると玄関に出しっ放しにしてあったtrippenの茶色い革靴の本体と靴底の張り合わせた部分の横の外周に、びっしりとカビが生えていた。玄関は脱衣所を出たすぐそこだったから湿気を含んだ空気が流れるのだろう。カビは真っ白でフワフワだった。何か小動物の暖かで繊細な毛皮のようにも見えるし、冬の早朝の冷え冷えとした霜のようにも見えた。

この靴は15年ほど履いていて、その間には吞みすぎて靴に嘔吐したり、酔っぱらって川にはまったりということを何度もしていて、そんな苦楽を共に乗り越えてきていた。

夜になり久々に靴の手入れをしようと思いたち、Tシャツの切れ端とクリームとウイスキーを手に取って磨き始めた。
スガダイロートリオのGOLDENFISHのCDを聴きながら磨いた。
8年ほど前にちょうどこのライブを聴きに行った時もこの靴を履いていた。そのライブの打ち上げで主催者と口論になりミュージシャンに助けてもらった後に歩いて帰宅しようとして、気が付いたらずぶ濡れで家で寝ていた。
その時も冬の頃で水に濡れてガビガビになった靴をクリームで磨いた。

今日は手が機敏だったので他の靴も磨いた。三足目を磨く頃にはウイスキーも何杯目かになっていた。
靴を磨き終えCDをThe ContortionsのBUYに替えた。
contortionsは屋内の革靴にとても合う。磨いたばかりのピカピカの靴を部屋で履いた。ステップを踏みながら電球に照らされる革靴はウイスキーみたいな色をしていた。contortionsのボリュームを上げようとしたがワイヤレスイヤホンの最大限は全然足りなかった。
なにか業界の取り決めで配慮されているのか全然鼓膜を揺るがさない。
ワイヤレスのヘッドフォンではJames Chanceの叫びは伝わりづらかった。

The Wall Street Journal
China to open borders as Covid-19 cases rise
(Covid-19の症例が増える中、中国は国境を開放する)

しばらくして気が付いたらイヤホンからの音が切れた。ワイヤレスイヤホンのバッテリーがなくなったようで、いつの間にかパソコンのスピーカーからガチャガチャした音が流れていた。
慌ててパソコンの音を消して椅子に座ると、そっと靴を脱いだ。

音楽のない冬のアパートはとても静かだった。
そして靴を脱いだあとの足は少し寒かった。