強訳 -強引な翻訳-

英字新聞の見出しを一つ翻訳する日記

7月30日

壺からやっと脱した。

壺に封じ込められていた魔物のようなセリフみたいだけれど、まぁ何とか逃れることができた。
壺から逃れて皿、鉢、コップと普段使えそうなものを想像しながら作った。
もともと自分の中にごちゃごちゃしたデザインがなくてどれもシンプルな形で作ったのだが、たしかに料理を盛る器はメインでなくやはり器なのだと思う。
特に自分の作る料理は簡単なものばかりだから余計に器は控えめなほうがいいと思った。
だけど唯一コップはウイスキーを飲むコップをイメージして作ったのだが、それは多少デザインされててもいいと思えた。
逆にシンプルすぎるとどこか頼りなく感じられる。
ウイスキー自体が偉そうというか重厚なイメージだからかコップもそれなりに髭みたいなものを蓄えていてもいい気がした。
とりあえずこんな感じかなという物を何点か作り満足した。

その後それらをすべて壊し片付けたら、無性に昨日のまぐろが気になりだした。
ひょっとしてこっそりアラが売られているんじゃないかと思ったのだ。
昨日の解体ショーでそれなりのアラを切り落としているのを見ていたのだ。

夕方になり確認がてらお店に向かうことにした。
店内に入ると今日はまぐろどころの騒ぎではなく店中鰻三昧だった。
そこら中に鰻のかば焼きや白焼き、たれ、う巻きなどが並べられていた。
まぐろは隅っこに申し訳なさそうに刺身が売られているだけで、アラなんて当然なかった。
やっぱりそうか、今日は丑の日だからな。
かといって鰻を買う甲斐性もなくウロウロと店内をまごついていると、肉屋がタイムサービスで豚のこま切れを100g98円で販売していた。
鰻丼も食べられないしどうせならコマカツ丼を解禁するか、と思い立ち豚のこま切れ肉を購入した。
あぁ、そういえば先日の土用餅もおいしかったなぁ、と米屋に寄り買って帰ることにした。

米屋の入り口の前では店員と常連と思しき高齢の女性が何やら話し込んでいた。
あまりにも真剣な面持ちで話していて、ウクライナの情報交換か何かをしているようにも見えた。
二人の横をこっそり抜け先日の店員が餅をくれた場所を見ると、そこに土用餅は置かれていなかった。
話を遮るのも申し訳なかったが二人のロシアへの反感は止みそうもなく、仕方なく声をかけた。
土用餅はありますか?と尋ねると「あ、ちょっと待ってね。えっと、こっちに、あ、二つ入りのが最後のワンパック残ってますけどそれでいい?」と店員が聞いてきたので、それでいいです、と答えると「半額でいいですよ」と安くしてくれた。
ありがとうございます、と言って餅を受け取ると「ありがとうございました」と店員も返事をして、そのまままた先ほどの話に戻っていった。

The Japan Times
In Japan, extreme heat and an aging population are a deadly mix
日本で猛暑と高齢化が致命的な組み合わせになっている

部屋に戻り一息つくと、土用の丑の日ってそういえば「う」から始まるものなら何でもいいんじゃなかったっけ、と思い出しせっかくなので「う」の付く梅酒を解禁することにした。
夕飯の支度前に今年の梅酒をクイッと飲んだ。
おぉ、いいね。
ロックだとちょっと甘いけれど梅の香りもしっかり出ていてうまい。
それを炭酸水で割ると丁度いい甘さになった。
うまいうまい、と二杯続けて飲んだ。
うん?待てよ。
「う」から始まるならうまいもの全部いけるんじゃないか。
なんだこのルール、ガバガバじゃないか。
コマカツ丼も梅酒も解禁したし、家にあるうまいもの全部解禁してしまおう。
らっきょうも味噌汁も解禁して一緒に夕飯に食べることにした。

主菜、副菜に味噌汁まで付いて豪勢な夕飯だ。
久々に食べるコマカツ丼はとてもうまい。
その合間に食べるらっきょうはシャキシャキして酸味も相まってすっきりしていた。
ご飯は一合盛りつけたけれどあっという間に食べてしまった。
そして何より味噌汁がうまかった。
突然の思い付きだったから具は玉ねぎだけだけれど、それだけでも十分にうまい。
一ヶ月以上食べていなかったから久し振りというのもあるが、味噌がさらに熟成されてきているのだろう。
今までは作りたての若い味噌ばかり食べていたから、少し味噌を使わなかったこの暑い時期が良いように働いていた。

土用の丑の日にこれだけうのものを食べたら夏バテも手出しできないだろう。
さらにこちらにはまだ土用餅の奥の手まであるのだ。